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お笑いを見たり聞いたりライブにいったり。

お笑いと英語

お笑いをやる人に嫌われる「お笑いの分析」を今からやります。
※ネタについて語るので、ネタバレあります。ご注意ください。

はじめに

お笑いのネタで英語が使われることがあるが、「伝わりにくい」が前提にあるので難しい。
そもそも日本人は、英語がそんなにできない。
まともにネイティブが喋るようなスピードや語彙で英語を喋ると、「聞き取れない」「何言ってるかよくわからない」ので見てる人の気持ちが離れる→伝わらない→ウケない となってしまう。
それを克服した日本人に向けたお笑いのネタでの英語の使われ方には、大まかに5つのパターンがある。

ネタにおける英語の使い方のパターン

  • 英語×発音: 日本語なまりの発音をイジる
  • 英語×わからなさ:「何言ってるかわからない」という状況説明に使う
  • 英語×日本語: 日本語の一言ネタへのフリとして英語を使う
  • 英語×リズム: リズムネタの一部として使う
  • 英語×英語の教科書あるある: This is a pen.のようなシンプルすぎる英文、ジョンやナンシーなどのキャラクターを利用する

英語×発音

「日本語なまりの英語の発音」をイジるネタが多い。「きれいすぎる英語の発音」のパターンもある。

トンツカタン「塾」

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トンツカタンの代表作(営業でよく見るやつ)。
「日本語なまりの英語の発音」「きれいすぎる英語の発音」の対比。

すゑひろがりず「英語の授業」

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英単語の発音の仕方がすべて日本の伝統芸能っぽくなるというネタ。
※日本語の発音ありきなので英文としては成立していない。

ザ・ギース「レッスン」

できる男風に見えてハイパー片言英語な男に銀行強盗が英語の発音を教える。ほぼ全編英語で進む珍しいネタ。(DVD「ニュー・オールド」収録)
その他、「代々木アニメーション英会話学校」(DVD「Poetry Vacation」収録)というネタもある。

Gパンパンダ「ホームステイ」とかも「日本人」のカタコトすぎる英語の発音イジりが含まれる。現在ライブにかけてるネタなのでライブに行くと見られるかも。

英語×わからなさ

「何言ってるかわからない」というコミュニケーションのすれ違いを描くネタ。

いるかパンチ「天ぷらそば」

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「外国人」という立場を利用したネイティブならではのネタ。このネタでキングオブコント準々決勝にも進出した。

ジャルジャル英会話教室でイラつくやつ」

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「何言ってるかわからない」状態が続くネタ。
「英語の先生と日本人」というシチュエーションが多い中、「日本人どうしが英語で会話する」という設定なのが珍しい。

その他、グレープカンパニーの新人「まかろにステーション」もアメリカ人であるギャビンさんを活かした英語のネタをやっている。

英語×日本語

なんかそれっぽい英語に混ぜて「明らかにわかる日本語」を混ぜる手法。
英語部分は日本語ネタのフリとして使われる。

ゆりやんレトリィバァ「オスカー受賞スピーチ」

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英語部分は一応意味のある言葉をしゃべっているが、わからなくても「受賞スピーチ」という文脈でだいたいどんなことを言うかみんなわかるので問題ない。
似たようなパターンのネタで「ミスコン受賞スピーチ」、その他「ピアノ少年ジョン・スミス」などのネタもある。

おいでやす小田「英語のアクセント」

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発音ではなくアクセントに注目しているのは珍しい気がする。
英語は最初のみで、関西弁あるあるがモチーフのフリップネタ。

しゃもじ「英語の授業」

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英語=わからないをフリにして日本語=明らかにわかるで笑いを取るネタが多い中、「英語=わからない」ことをフリにして「日本語=さらにわからない」ことをネタにしている。

その他、アルコ&ピースの「フェルナンデス兄弟」とかも外国語をフリにして日本語のあるあるを混ぜている。(英語ではなくスペイン語系言語がモチーフ)

英語×リズム

ピコ太郎「PPAP

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2016年の鬼バズりコンテンツ。
シンプルな英文、同じリズムの繰り返し。
英文としては意味が通るが、全体としては意味のないことを言っている。
古坂大魔王は「歌ネタの速さはBPM120〜140に収束する」と語っていて、この曲もBPM136の早すぎず遅すぎないテンポにしている。「間延びせず理解できる」速さがこれぐらいなのかもしれない。
次節の「英語の教科書あるある」とも関連。

英語×英語の教科書あるある

陣内智則「パーフェクト英会話」

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英単語の発音の仕方をシチュエーション別ボケるパートと、英単語の内容自体にツッコミをいれるパート、日本語を急に入れるパートと英語ネタで出来ることの詰め合わせみたいなネタ。
※これだけ公式動画が見つからなくて勝手にあがってるやつです。すいません。

東京ダイナマイト「英会話スクール」

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シチュエーションに加えて、喋っている内容でも笑いを取っている珍しいコント。
「Fuck you!」とか「Son of a bitch!」など誰でもわかる罵詈雑言を使っている。
「Good smell baby!」「なんでにおい嗅いでんだよ」など聞き取りにくい部分はツッコミで説明を入れている。
ドラム叩いてるので英語×リズムの要素もあるかも。

結論

「日本のお笑い」における英語の役割にはパターンがある

・英語×発音: 日本語なまりの発音をイジる
・英語×わからなさ:「何言ってるかわからない」という状況説明に使う
・英語×日本語: 日本語の一言ネタへのフリとして英語を使う
・英語×リズム: リズムネタの一部として使う
・英語×英語の教科書あるある: This is a pen.のようなシンプルすぎる英文、ジョンやナンシーなどのキャラクターを利用する

ネタとしては紹介できなかったけど、「空耳アワー」みたいな聞き間違いを利用するパターンもある。
フツーの日本人の英語力はそんなに高くない。
英語で喋っている内容を伝えたい場合、
・文ではなく単語を使用する
・ゆっくり一単語ずつ喋る
・英語2センテンスぐらいで日本語を混ぜる
・めちゃくちゃシンプルな文にする(5単語程度)
・ツッコミで説明する
・よく聞くフレーズを使う
などの工夫が必要。

英語のレッスン(学校、塾、英会話スクール) という場面が圧倒的に多い。
だんだん日本人の英語力が変わったら、100年後には英語で喋っている内容で勝負するようなネタもできるかも。